既約分数の和の求め方|中学受験算数の難問をオイラー関数で解く
中学受験算数の難問の中には、大学数学の入り口である「数論」の考え方を活用すると、驚くほどスッキリ解けるものが存在します。今回はその代表例である「既約分数の和」の攻略法を解説します。「1つずつ書き出して調べるのは時間がかかる…」と感じる問題こそ、数学的な構造を味方につけることが大切です。
今回の問題
次の分数列の中で、これ以上約分できない分数(既約分数)をすべて足すといくらになりますか?
ステップ1:分母を素因数分解する
約分ができるかどうかは、分母と分子が共通の割り切れる数(公約数)を持つかで決まります。まず、分母の200がどのような素数で構成されているかを調べます。
この結果から、分子に「2」または「5」の因数が含まれているときに約分が可能であることが分かります。つまり、既約分数とは、分子に「2の倍数でも5の倍数でもない数」を持つ分数のことです。
ステップ2:既約分数の「個数」を求める(オイラー関数)
ベン図を書いて数えることもできますが、ここで大学数学の知恵である「オイラー関数 φ(n)」の考え方を導入します。これは、ある数 n と互いに素な(最大公約数が1である)数の個数を一発で計算する公式です。
分母が200の場合、素因数である2と5を使って以下のように計算できます。
これを計算すると、
これで、足すべき既約分数は全部で80個あることが一瞬で導き出せました。
ステップ3:「対称性」を利用して一気に合計する
80個の分数をすべて書き出す必要はありません。既約分数の分子には「両端の数を足すと分母(200)になる」という美しい対称性があります。
例えば、次のようなペアが作れます。
既約分数が全部で80個あるということは、「和が1になるペア」が合計で 80 ÷ 2 = 40 ペアできるということです。
したがって、すべての和は
となります。
まとめ:算数から数学への繋がり
今回のポイントを整理すると、以下の3つのステップになります。
- 素因数分解:分母200を 23 × 52 と分解し、因数を特定する
- オイラー関数:φ(200) = 80 個であることを公式で導く
- 対称性の活用:和が1になるペアが 80 ÷ 2 = 40 組あることを利用する
一見すると力技が必要そうな問題も、数学的な視点を持てば美しく解くことができます。算数と数学の繋がりを意識して、思考力を磨いていきましょう。
